【社長必見】外国人材を採用する前に!知っておくべき労働条件と在留資格の基礎知識

最近、建設現場で重機の運転や国道でトラックを運転している外国人の方を見る機会が増えました。

建設業での人手不足が深刻化する中、外国人材を上手に活用しているお客様がいらっしゃいます。

また、そういった外国人人材を専門とする斡旋業者の方もいます。

経営者自身が、ご家族が日本人の外国人という方もたまにご面談させていただきます。

どちらかといえば労務の分野(私の専門分野ではない)になるのかもしれませんが、

小規模企業の成長戦略において、外国人材の活用は、選択肢の一つとして非常に重要だと考えています。

上手く行っているケースが目立つので、今回私なりに勉強しました。

採用にあたっては、日本の労働法規や入管法に基づく厳格なルールを守る必要があり、

不法就労者を雇用した事業主は不法就労助長の処罰対象になります。

知らなかったでは済まされないリスクが潜んでいます。

(たまにニュースで不法滞在者を雇用したとして逮捕される経営者をみたことがあります。)

社長の皆様が特に注意すべきポイントを解説します。

1. 労働条件に関する「適正な取り扱い」の確保

外国人労働者を雇用する場合、国籍を理由として、賃金、労働時間、その他の労働条件において差別的な取り扱いをしてはなりません。均等待遇の原則が適用されます。

労働条件の明示と周知の義務

  1. 労働条件の明示: 労働契約を締結する際には、賃金や労働時間などの主要な労働条件について、当該外国人労働者が理解できる言語で作成された書面を交付し、内容を明確にする必要があります。
  2. 労働基準関係法令の周知: 外国人労働者が関係法令の内容を理解できるよう、分かりやすい説明書を用いるなど、必要な配慮をすることが求められています。
  3. 適切な労働時間管理:適切な労働時間管理を行い、労働者名簿や賃金台帳等を整備することが必要です。

2. 安全衛生の確保における配慮

外国人労働者に対する安全衛生教育や労働災害防止措置の徹底も、社長の重要な責務です。

  1. 安全衛生教育の実施:
    • 安全衛生教育を行うにあたっては、外国人労働者がその内容を理解できる方法で実施する必要があります。
    • 特に、外国人人材が使用する機械設備や安全装置、または保護具の使用方法について、確実に理解させるよう留意しなければなりません。
  2. 労働災害防止のための日本語教育:
    • 労働災害防止のための指導事項を理解できるよう、必要な日本語や基本的な合図等を習得させるよう努める必要があります。
  3. 健康診断:
    • 日本人と同様に、定期健康診断を実施する必要があります。

3. 社会保険の適用

社会保険(厚生年金、国民年金など)についても同様です。
「技能実習」や「特定技能」の在留資格を持つ労働者には、厚生年金や国民年金を含む社会保険が適用されます(ただし、帰国後に海外に居住する者等は除かれます)
つまり、労働者として雇用する限り、国籍に関係なく、適切な労働条件と社会保障を提供する必要があります。

4. 在留資格の確認と特定技能制度の活用

外国人が日本国内で就労できるかどうかは「在留資格」によって厳格に定められています。

外国人の方を雇い入れる際には、就労が認められるかどうか、在留カードで確認しましょう。

就労が認められる在留資格の例

以下のような在留資格は、基本的に認められた範囲内で就労が可能です。

  • 教授、芸術、宗教、報道
  • 経営・管理、法律・会計業務
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 医療、研究、教育、技能、興行
  • 特定技能、技能実習、特定活動

原則として就労が認められない在留資格

文化活動、短期滞在、研修、留学、家族滞在などの資格は、原則として就労が認められません。

ただし、「留学」や「家族滞在」の在留資格を持つ方は、「資格外活動許可」を受ければ、原則として週28時間以内(学生の場合は夏休みなどの長期休暇中は1日8時間、週40時間まで可能)で就労が可能です。

就労活動に制限のない在留資格

永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者、定住者

 

特定技能制度の活用について

人手不足の業種において即戦力となる人材を確保する目的で導入されたのが特定技能制度です。

制度 目的 在留期間
特定技能1号 特定産業分野の即戦力となる専門性の高い技能を持つ外国人材を受け入れる。 原則1年、通算最長5年。
特定技能2号 特定技能1号よりも熟練した技能を要する業務に従事する。 3年、1年、又は6か月。更新回数の制限なし。

特定技能制度と技能実習制度は併存していますが、技能実習の経験者が特定技能評価試験を経て特定技能へ移行するルートも存在します(育成就労制度も2027年4月より導入予定)。

小規模企業の社長の皆様は、外国人材の採用にあたり、これらの労働・在留に関するコンプライアンス要件を深く理解し、適切な管理を行うよう心がけましょう。

場合によっては、社労士の方や専門の人材会社に相談することをおすすめいたします。

 

 

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