税務調査への対応は調査前から始まっている

昨日に引き続き、セミナーを受けての最近の税務調査の動向を書きます。

全国で524ある税務署には、約3万人の調査官がいます。

以前にもブログで書いたことがありますが、1事務年度の中で、税務署ごとに何件の調査をこなすというノルマがあります。

その選定先については、KSK(国税総合管理システム)を使用し、あたりをつけてから税務署ごとに事前の資料収集を行い、綿密な準備を行なって最後は調査官である人間の目で決定するようになっています。

(最近はAIを導入し、追加の税金を徴収する確率が高いところを選んでいると聞きます)

つまり、税務署側はノルマを達成するために、用意周到に選定先を選んで、短い期間で調査の件数を多くこなしたいと考えているといえます。

同時に、重加算税という最も重い罰則を課すことで、抑止力を与え、税収も増やし調査官としての評価を上げることができます。

納税者側としては、できるだけ調査の選定をされないような決算書を作成すること、

大きな変動や異常値があれば事前に説明を付すことでその確率を下げることができます。

また、仮に調査の通知を受けたとしてもその対策をしっかり踏んでおけば、

最も重い重加算税を課されることもないわけです。

この税務署側の事情を踏まえた上で最近の税務調査の動向として、

税務調査と行政指導の違いがあります。

よくあるケースとして、税務署から提出した申告書に間違いがあると電話があったとします。

改めて確認したところその間違いに気づき認めた上で、自主的に修正申告を提出し、正しい税額を納付することになるのですが、その後罰則となる加算税が計算された納付書が送られてきたとしましょう。

何も知らないとこちら側が間違えて申告書を提出したのだから仕方がないと思い、

払ってしまうことかと思います。

しかし、その修正を促す税務署からの電話が調査ではなく、行政指導であるとしたら、その間違った申告による加算税は課されないのです。(延滞税はかかります)

ここで大事なのは、税務署側のスタンスとしてはできるだけ調査件数をカウントしたいので、電話で調査を終わらせることができれば御の字なわけです。

なので、手続きを踏んで事前通知を行い、実際の現場で調査を行う一般的な実地調査を端折って電話で終わらせてしまうこともあり得るのです。

納税者側も、税務署に言われたら反論できないのも事実です。

この点当初の税務署からの連絡が税務調査なのか行政指導なのかは天と地の差といえます。

そのため納税者が極端に不利を受けないように、税務署側のルールで計算ミスや転記ミス、記載漏れや記載場所が間違っているなどの自主的な修正をその場で促せるようなものは調査に該当しないとしています。

税務署側でも連絡する際にそれが税務調査なのか行政指導なのかを納税者側にきちんと明示するとしていますが、

先ほど言ったように全国で3万人もいる調査官全てがルールを把握し、それ通り行なっているかは”NO”だと言えます。

税務署主導となったお願いや依頼、提案は納税者側にとって不利になることがほとんどです。

なので、税務調査のトラブルが絶えず、税理士への相談や直接税務署に苦情を言う人もいるわけです。

事前の連絡が税務調査なのか行政指導なのかを確認するだけでもてん末が大きく変わります。

こういうことがあるので最新の税務調査のトピックや情報は常に耳に入れておきたいと思っています。

それが納税者をまもることにつながりますので。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、また。

 

 

 

 

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