地域に根ざしている大家さん、地主さん、兼業農家さんの役割として、
まちづくりに欠かせないとても重要な業種であり、地域社会への貢献度も高いといえます。
そんな不動産オーナー様の中にも勝ち組負け組とまでは言いませんが、過去のやり方を変えない、不動産管理会社に任せきりの経営では通用せず、お金が増えない、赤字が続いてるという状況から抜け出せなくなっているケースもあります。
そこで、今後も不動産業を専業として、健全な経営を行い、いずれ後継者に引き継ぐためにも、今からできることを3つのポイントにまとめました。
賃貸経営3つのポイント
① 数字で経営
「数字で経営」とは、賃貸経営を具体的な数値に基づいて管理・判断することであり、経営の基盤となります。
・現状の課題と対策を考える
多くの賃貸経営者が直面する課題として、満室でも赤字になる、キャッシュが残らない、物件ごとの収支計画がない、家賃設定を管理会社に任せきり、金融機関は一行のみに頼っている、税務の知識がない、といった点が挙げられます。
これらの課題を解決するためには、「数字で経営」の視点が不可欠です。
・デッドクロス
これは、減価償却費よりも元金返済額が大きくなってしまう状態を指します。
この状態になると、帳簿上では利益が出ているにも関わらず、キャッシュ(現金)が残りにくくなり、さらにその利益に対して課税されることで、資金繰りが悪化してしまいます。
・税引後キャッシュフロー
賃貸経営において最も重要視すべき指標の一つが、税引後のキャッシュフロー(CF)です。
計画通りに税引後CFがプラスであることが重要です。
満室収入、空室等、実効収入、運営費、純収益、借入返済、税引前CF、所得税額、課税所得、減価償却費、借入利息、税引後CFといった項目から、これらの数値の変動が経営にどう影響するかを把握します。
特に減価償却費の経年変動(例えば、定額法で躯体設備が15年の場合、16年目から減価償却費が減少する)は、課税所得に影響を与え、結果として税引後CFの悪化リスクにつながります。
・事業計画におけるリスク管理
純収益の維持、空室改善、運営費圧縮、借入利子減少、減価償却費減少といった要素が、所得税増加や課税所得増加を形成し、経年によるCFの悪化を防ぐための事業計画作成が重要となります。
② 各分野のプロのサポート
「プロのサポート」とは、賃貸経営者が直面する様々な課題に対して、不動産賃貸管理会社・税理士、ハウスメーカーなどの専門家の支援をうけることです。
・経営の基本原則と専門家の役割
どのような事業でも、究極的には「①売上を上げる」と「②固定費(税金含む)を下げる」の2つに尽きるとされています。プロのサポートは、これらの改善に貢献します。
・売上を上げる視点
家賃を上げる、空室を埋める、といった市場的な視点からのアプローチが重要です。
・固定費を下げる視点
管理料(PM・BM)、修繕費(大規模修繕・原状回復)、広告費(AD)、固定資産税(固都税)、所得税といった費用を削減する、投資的・税務的な視点が重要です。
・具体的な改善事例
管理料が高い場合、管理会社を変更するだけでキャッシュフローを大きく改善できる事例があります。
あるケースでは、PM(管理委託料)が5.5%から3.5%に、BM(建物管理料・修繕費含)が10%から2.6%に削減され、年間合計で約100万円の費用削減につながりました。
③ 後継者の育成
賃貸経営は息の長い事業であるため、次世代へのバトンタッチ、すなわち後継者の育成は自然な流れであり、非常に重要です。
・後継者育成の重要性
後継者を経営に巻き込むことが重視されています。
・後継者関与による変化
後継者が経営に関わることで、以下のような良い変化が期待できます。
- 先代の価値観を共有できる。
- 賃貸経営や相続に関する価値観を家族で共有できる。
- 先代の数十年にわたる賃貸経営の経験やノウハウを知ることができる。
- 新しい経営手法を取り入れることができる。
- 数字を共通言語として、具体的で的確な事業計画書を作成できる。
・後継者の具体的な関わり方の例
年齢に応じて水道メーターの検針や計算、データ収集、共用部の清掃などを実践してもらう。
これにより、物件の状況を把握したり、無理のない範囲で物件点検を行うことも可能になります。
以上、賃貸経営で事業を継続させるための3つのポイントをお伝えしましたが、実際に経営の場で、行動することでまた新たな課題や問題が生じます。
そうすることでだんだんと賃貸経営の本質が見えてくるはずです。
不動産所得は、不労所得と言われていますが、業種が違うだけで一般の企業と同じような健全な経営が、経営者に求められます。
ぜひ、この機会に一度経営を見直すきっかけにしていただければと思います。
それでは、また。
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