共同経営を望むなら事前対策をしっかりと

昨日の夕方ごろ藤沢駅から見えた虹です。

とても綺麗なアーチでした。

10月はいいことがありそうです。

さて、最近、共同経営をしているという方とお話しする機会がありました。

これまでの税理士経験でも何度かご相談を受けたことがあります。

以前の職場の同僚に誘われた、元々友人と一緒にやりたいと話していた、

一人では心細かったなど経緯は色々とあるかと思います。

正直、気の合う仲間と一緒に会社を作るというのは羨ましいです。

共同経営は、「二人三脚」で大きな目標を目指す素晴らしい挑戦だと思います。

ただ、自らが経営者の立場となると良好な関係が続くとも限りません。

意見の対立もあるでしょう。

仮に意見の対立が解消できない場合、場合によっては会社自体がストップし、事業の継続が不可能になることもあります。

こういった状況は絶対に避けるべきです。

この致命的な事態を防ぐための予防策を、会社形態別に解説します。

株式会社の共同経営

株式会社を設立する際に、資本金を設定いたします。

その会社に出資する金額によって、かわりに持てる株式の数も異なります。

この株式の数を議決権と言いますが、この議決権は会社の重要な決定事項を決めるのに非常に重要な数になります。

この議決権(持ち株比率)が、共同経営者である株主間で均等である場合に発生することをデッドロックと言います。

例えば、200万円の資本金で、100万円ずつ出すような場合です。

このデッドロックの状態は、経営上好ましいとは言えません。

デッドロックが発生する仕組み

典型例は「50% vs 50%」です。一見すると対等な立場ですが、以下の理由によりお勧めしません。

  • 会社の重要事項を決める株主総会では、普通決議は過半数、特別決議は2/3以上の賛成が必要です。50%ずつでは、意見が割れた時点でどちらも過半数に達せず、一切の意思決定ができなくなります。
  • 「取締役の解任」「M&A」「定款変更」など、会社の根幹に関わる意思決定が停止します。

お勧めは、事前にこの議決権の比率の調整をしておくことです。

極端に言えば「51%対49%」など、どちらか一方に最終的な決定権を持たせる。

これはデッドロックを防ぐ最も確実な方法となります。

普段は協議で、緊急時は51%側が決定できます。

これができないなら共同経営自体を見直す必要があります。

価格の明確化

株主間契約で「株式の売買」ルールを定める際、売買価格の算定方法を明確にしておくことが、

後の紛争を防ぐ鍵です。

「第三者の税理士に依頼して時価評価する」といった条項を必ず盛り込みましょう。

合同会社(LLC)の共同経営

合同会社は、株式会社と比べて設立時の費用が安いことや役員任期や決算公告の手間が省けることから最近件数が増えています。

株式会社と異なり、所有と経営が分離せず、出資者=経営者となります。

そのため、対立が起きると株式会社以上に深刻なデッドロックに陥りやすい特性があるので、安易に合同会社で共同経営を行わないことが大事です。

 

デッドロックが発生する仕組み

  • 合同会社では、原則として出資比率に関係なく、「社員の過半数」で業務執行を決定します(定款に別段の定めがない場合)。
  • 社員がAとBの2人だけの場合、意見が割れた場合、会社の重要な業務執行が一切できなくなります。株式会社と異なり、出資比率が高くても、1票は1票です。
  • 社員が勝手に持分を売却して退社することが難しく、対立が長期化しやすい傾向があります。

 

事前対策

合同会社では、定款(会社のルールブック)を設立時に作り込むことが、

唯一にして最大のデッドロック対策となります。

定款を見るとテンプレート的な内容の薄い定款を見る機会が多いです。

専門家のアドバイスを受けていないことがすぐにわかります。

  • 「出資比率に応じて議決権を配分する」、あるいは「代表社員の議決権を重くする」と定款に明記する。
  • 一方が他方の持分を買い取り、退社させる手続きと価格算定方法を事前に確定し、裁判沙汰になるのを防ぐ。
  • 「代表社員が単独で決定できる事項」の範囲を広げ、定款に明確に定める。

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まとめ

会社形態を問わず、デッドロック対策とは、「二重の保険」をかけることです。

  • 一次保険: 議決権比率や定款で、そもそもデッドロックを起こさせない構造を作る。
  • 二次保険: 万が一デッドロックが起きた場合、「どうやって会社を終わらせるか(あるいは続けるか)」のルール(株式・持分の売買)を契約で定める。

創業時の信頼関係があるうちにこそ、冷静に「最悪の事態」を想定したルール作りを行うべきです。

法務面は必ず弁護士に、会社法、登記は司法書士に、財産・評価面は税理士にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございます。

それでは、また。

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