事業の健全な成長を支える上で、利益と同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのが「キャッシュフロー」=「お金の流れ」です。
帳簿上の利益が出ていても、手元の現金が不足すれば、事業は立ちゆかなくなってしまいます。
今回は、このキャッシュフローを健全に保つためのポイントを、税理士の視点からご紹介します。
1.入金サイクルを速める工夫:現金を早く手元に!
事業の血液とも言える「現金」をいかに早く手元に確保するかが、キャッシュフロー改善の第一歩です。
◦スマホ決済
お客様からの売上について、クレジットカード決済を導入している場合、スマホ決済を導入することで入金サイクルを短縮できる場合があります。
現金の早期回収は、資金繰りの安定に直結します。
◦料金前払い、一括払い
掛売りをしている場合でも、顧客に交渉して前払いを促したり、長期契約では一括払いを提案したりしましょう。
たとえ多少の割引を提供したとしても、手元に早く現金が入るメリットは大きいものです。
前払いが難しい場合は、分割払いや着手金も有効です。
◦入金管理
商品やサービスの提供が完了したら、売掛金は速やかに回収することが重要です。
回収サイトが長くなりがちな場合は、入金予定を厳しく確認し、期限が過ぎたら督促することが大事です。
リアルタイムで把握するため、クラウド会計やネットバンキングを活用します。
◦ファクタリングの活用
売掛金を専門の金融機関に買い取ってもらう「ファクタリング」は、手数料はかかりますが、迅速に現金を手に入れる手段として有効です。
これにより、資金繰りの改善だけでなく、貸倒リスクの軽減にもつながります。
2.支払いサイクルを見直す工夫:現金の流出を抑える!
一方で、手元から現金が出ていくタイミングを適切に管理することも重要です。
◦クレジットカードの利用
企業が仕入れや経費の支払いにクレジットカードを利用することで、実際の支払いを先延ばしにすることができます。
これにより、手元の現金をより長く保持し、キャッシュフローに余裕を持たせることが可能です。
◦給与支払日の設定を工夫する
従業員への給与支払日を、売上代金の入金がある程度見込める日、つまり入金後に設定するよう工夫することで、資金繰りを安定させやすくなります。
◦ボーナス制度の導入を検討
基本給を抑え、業績に連動したボーナス制度を導入することで、人件費を変動費化できます。
業績が良い時に多く支払い、そうでない時には調整できるため、キャッシュフローへの負担を軽減できます。
◦徹底した経費削減の努力
不要不急な経費(交際費や旅費交通費など)は定期的に見直しましょう。
また、契約しているサービスの料金や仕入れ価格を定期的に見直し、より安価な選択肢がないか検討することも大切です。
3.税金との賢い付き合い方:消費税の注意点!
◦税金は利益に課税され、まとめて払う
税金は、基本的に稼いだ利益に対して課税されかつまとめて払うことになります。
なのに税金を払う時期に、手元にお金がないということも。
利益とお金のずれを事前に把握し、納税管理まで行うことがポイントです。
特に、消費税は預かっているお金なので、運転資金として考えてしまうと払う時期にお金が足りなくなってしまうことがあります。
◦消費税はキャッシュフローに大きな影響!
特に大きな資産の売却などを行った場合、多額の消費税の支払いが発生し、キャッシュフローを圧迫することがあります。
消費税の納税準備を怠らないよう、事前にしっかりとシミュレーションを行い、必要に応じて税理士に相談することをお勧めします。
*====================
まとめ:キャッシュフローは事業の生命線!
キャッシュフローの健全化は、事業を安定させ、成長させるための土台です。
上記でご紹介したポイントは、今日からでも実践できるものばかりです。
しかし、個々の事業状況や業種、税務上の特性によって最適なキャッシュフロー改善策は異なります。
例えば、消費税の取り扱いや、資産売却による税務上の影響などは、専門的な知識が必要です。
もしご自身の会社のキャッシュフローについて、さらに詳しく知りたい、具体的な対策を相談したいとお考えでしたら、ぜひ一度、税理士にご相談ください。
一緒に貴社のキャッシュフローを「健康体」にしていきましょう!
それでは、また。
コメント