決算書「実態修正」3つの最重要ポイント

先日、義理の母の喜寿(77歳)のお祝いで親族が集まり、

みんなで横浜中華街へ行ってきました。

子どもたちと一緒に「横浜大世界」のアートトリックミュージアムで

目の錯覚を利用した面白写真をたくさん撮って大笑いしたあと、

個室を貸し切って中華料理を堪能。

大きな円卓を囲んでみんなの顔を見渡しながら食事をするのって、

大人数ならではの温かみがあってやっぱり良いものですね!

主役の義母もとても喜んでくれて、最高の記念になりました。

「一見そう見えるけれど、角度を変えて見ると全く違う姿が浮かび上がる(アートトリック)」

「ひとつのテーブルだけでなく、ぐるりと全体を見渡して判断する(円卓の中華)」

これって実は、金融機関が融資の審査で決算書を見るときのアプローチと全く同じなんです。

金融機関は、提出された決算書の「表面上の数字」だけを鵜呑みにすることはありません。

審査の過程で、貸借対照表(B/S)に計上されている資産や負債が

「本当にその通りの価値を持っているのか」を厳しく裏付けチェックします。

これを「実態修正」と呼びます。

特に、他業種に比べて動く金額が大きく、プロジェクトごとのリスクも高い不動産業において、

以下の3点は金融機関から真っ先にチェックされる「最重要ポイント」です。

棚卸資産(販売用不動産)の長期滞留と「実態自己資本」の罠

不動産業にとって、仕入れた土地や建物は「棚卸資産(在庫)」としてB/Sに計上されます。

しかし、仕入れてから何年も売れ残っている、いわゆる「塩漬け不動産」はありませんか?

「売れないけれど、仕入れた時の価格のまま資産に載せておけば、

表面上の黒字や純資産をキープできる」

そうお考えになる経営者様もいらっしゃいますが、

金融機関の審査ソフトは非常にスマートです。

業界の平均的な回転期間を大きく超えて滞留している在庫があると、

審査ソフトはそれを「不良資産(実質価値ゼロ)」と自動判定し、

決算書上の自己資本(純資産)からその金額を強制的に差し引いてしまいます。

まずは、売れる見込みのない不良在庫を計画的に処分・損切り(評価損や売却損の計上)し、

B/Sを綺麗に保つこと。

これこそが、結果として金融機関からの長期的な信頼に繋がります。

関係会社間取引と「グループ合算審査」の真実

不動産業では、物件の管理会社や企画会社、あるいは社長個人や親族名義の別会社など、

複数の法人を使い分けるケースが一般的です。

その際、「融資を受けたいメイン会社(A社)を黒字にするために、

赤字や不良資産を別会社(B社)に押し付ける(飛ばす)」という処理をしていないでしょうか?

これも、金融機関に対しては一切通用しません。

金融機関には「グループ合算(連結)審査」という絶対ルールがあるからです。

円卓の中華で全体を見渡すように、金融機関は社長やそのご親族が経営する関係会社の決算書も

必ずセットで提出を求めます。

そして、それらをすべて合算し、内部取引を相殺した「グループ全体の真の実力」で

融資を判断するのです。

もし不自然な利益の移転や小手先の操作が見つかれば、

「実態を取り繕おうとする不誠実な企業」と判定され、

グループ全体の資金調達が一瞬でストップする(ブラックリスト化する)という

致命的なリスクさえ生じます。

関係会社間の取引は、常に「第三者間でも成り立つのと同じ合理的な理由」を

説明できるよう整えておかなければなりません。

減価償却の未計上(賃貸物件保有者向け)

自社で賃貸物件(アパート・マンション・ビル等)を保有している経営者様に多いのが、

「今期は本業が厳しいから、減価償却費の計上を見送って表面上の利益を出そう」という判断です。

確かに税法上、中小企業の減価償却の計上は任意(限度額内)とされています。

しかし、金融機関の審査ソフトは未計上の償却費(償却不足額)を自動計算し、

利益から強制的に差し引いて「実質赤字」として格付けを判定します。

つまり、減価償却を見送っても「赤字隠し」にはならず、

むしろ「小手先の操作で決算書をよく見せようとする経営者」というレッテルを貼られ、

定性評価(経営者への信頼度)が暴落するという最悪の結果だけが残ってしまいます。

減価償却は、毎期ルール通りに正しく計上するのが鉄則です。

事前に財務をデザインし、堂々と金融機関へ

金融機関は、アートトリックの種明かしのように、

決算書の裏側にある「実態」を冷静に見抜いています。

だからこそ、表面的な数字を取り繕うのではなく、

事前のシミュレーションによって「実態としても強い決算書」を

意図的に作り込んでおくことが何より重要なのです。

「自社のB/Sは金融機関からどう見られているだろう?」

「グループ全体の財務を一度整理したい」と思われた方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。

数字に基づいた確かなシミュレーションで、

金融機関から選ばれる強い会社を一緒に作っていきましょう。

 

コメント